分別時はリサイクルマークに注目! 日本のリサイクルの現状や企業がリサイクルを推進するメリットを解説

環境問題への関心が高まる中、「リサイクル」は私たちにとって身近で重要なキーワードといえるでしょう。

普段、何気なく目にしているリサイクルマークは、分別しやすくするためにつけられており、リサイクルの社会推進に欠かせないもの。この記事では、リサイクルマークの種類と合わせて、日本のリサイクルの現状や、今企業がリサイクルを推進すべき理由についてわかりやすく解説します。

リサイクルマークで素材を判別

リサイクルに取り組む上で重要な役割を担っている「リサイクルマーク」。その種類や素材の判別方法をわかりやすく解説します。

飲料用のスチール缶やアルミ缶

飲料のスチール缶やアルミ缶には、円形や三角形の循環する矢印に「スチール」や「アルミ」と書かれたマークの表示が義務付けられています。もし、リサイクルマークがなかったとしたら、外観だけで見分けられる人は限られていたでしょう。

自治体で分けて回収されていなくとも、回収地で選別される際に磁石などで選別されるほか、リサイクルマークで選別することもあります。スチール缶やアルミ缶はリサイクルマークがあることで、飲み終わったあとの飲料缶を適切に分別してリサイクルにつなげることができています。

紙製容器包装

パルプを原料とする紙製品は、古紙として再生することが可能です。特に、お菓子の紙箱などには楕円形の循環する矢印とその中心に「紙」と書かれたリサイクルマークが表示されています。

ただし、一括りにしてしまいがちですが、実は「紙」と「紙パック」は区別しなければなりません。牛乳などの「紙パック」はラミネートされているため、「紙」に混ぜて廃棄すると異物となってしまいます。

このため、自治体によっては「紙パック」のみを分けて回収したり、スーパーの回収ボックス等で回収したりしています。適切に分別して回収された紙製容器包装はリサイクルされて、新たな容器包装等に生まれ変わります。

食料品や飲料のPETボトル

飲料、酒類、特定調味料用のPETボトルには、三角形の循環する矢印とその中心に数値の「1」、そして下部に「PET」と書かれたマークがつけられています。ちなみに、数字の「1」は米国のSPI(The Society of The Plastics Industry)コードからとられたものです。

日本ではあまり使われていませんが、他のプラスチックにもコード(3はPVC、5はPP…等)はあります。回収されたPETボトルは、合成繊維や同じPETボトルなどにリサイクルされて、活用されています。

日本のリサイクルの現状

日本における各資源のリサイクル率とリサイクルマークが持つ重要性について、わかりやすく解説します。

各材料のリサイクル率

昔からリサイクルに取り組まれている紙資源や金属資源のリサイクル率は比較的高い状況にあります。
一方でプラスチックのリサイクル率は、まだまだ低い状況です。具体的なリサイクル率を以下にまとめました。

  • アルミ缶のマテリアルリサイクル:約97.5%(2022年のデータ)
  • 古紙のマテリアルリサイクル:約66.6%(2024年のデータ)
  • PETボトルのリサイクル率:約85%(2023年のデータ)
  • プラスチックのマテリアル/ケミカルリサイクル率:約25%(2022年のデータ)

プラスチックのリサイクル率の比較

日本のプラスチックのリサイクル率の内訳は、サーマルリカバリー約62%、マテリアルリサイクル約22%、ケミカルリサイクル約3%です(2022年のデータ)。
また、残りの13%は埋め立て処分されています。一方で、世界的にみた場合、ヨーロッパ諸国と比較するとオランダやノルウェーではサーマルリカバリー以外のリサイクル率44~45%(残りの約55%はサーマルリカバリー)を示しています(2020年のデータ)。
上記で挙げた国では埋め立て処分の割合がほぼ0%であることも特徴的な点です。
世界的にみても、日本のリサイクル率はまだまだ低い状態であることがわかります。

リサイクル素材の活用も重要

リサイクル率を増やすためには、まずは廃プラスチックの適切な分別と回収が重要。
この記事で解説したリサイクルマークも大切なポイントです。また、回収してリサイクルした後の活用方法も考えておく必要があります。

企業がリサイクルを推進するメリット

日本のリサイクル率の低さから、特にプラスチックリサイクルが求められる中で、企業はどのように取り組んでいったらよいのでしょうか。
リサイクルを推進するメリットに焦点を当てて解説します。

効率的な資源利用

リサイクルを推進することで、企業は今まで廃棄物として処理していたものを新たな製品の原材料として再利用できます。
枯渇性資源の消費を抑制することで、企業の持続的な原材料獲得にもつながるのです。

企業価値の向上

環境問題への関心が高まる中でリサイクルに積極的に取り組む姿勢は、消費者や投資家からの評価を高めます。
それにより企業のブランドイメージ向上に大きく貢献するでしょう。

「環境問題に積極的に取り組む企業」というイメージは企業の信頼性を高め、製品やサービスの選択において有利に働くことが期待されます。

リスクマネジメント

将来的な資源価格の高騰や環境規制の強化といったリスクに備える上で、リサイクルの推進は重要な戦略の一つです。
例えば、EUでは2024年7月18日に域内市場に流通する製品の環境要件を定める「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)」を施行しました。これは域内市場に流通するほぼ全ての製品が適用対象です。

リサイクルに関する正しい知識を持つこと、その上でリサイクル技術を確立すること、循環型のサプライチェーンを構築することで、外部環境の変化に対しても企業価値を損なうことなく維持できるでしょう。

まとめ

この記事では、リサイクルマークの種類と意味、日本のリサイクルの現状、そしてリサイクルを推進することの企業としての意義について解説しました。
リサイクルは、深刻化する廃棄物問題を解決し、持続可能な社会を築くための重要な取り組みです。まずはリサイクルマークに注目し、できる取り組みから実践してみてはいかがでしょうか。
個人でできる取り組みについては下記の記事で紹介しています。是非ご覧ください。

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