服選びが変わる!? 化学繊維と天然繊維の特徴や環境への影響を解説

洋服をみる女性

私たちが毎日着ている服。その服の素材について、どこまで意識しているでしょうか。取り扱い表示を見れば「ポリエステル」「綿」のような繊維名が記載されていますが、具体的な特徴までは知らない人も多いのではないでしょうか。実は、繊維や素材の特性が服の機能に大きく影響を及ぼしているのです。
この記事では、それぞれの繊維の種類や特徴や、メリット、デメリットなどをわかりやすく解説しています。

繊維の大分類

繊維は、その原料によって大きく二種類に分けられます。それぞれの特徴を解説します。

天然繊維

天然繊維とは、自然界に存在する素材を加工して作られる繊維のことを指します。天然素材ならではの質感や機能性が大きな魅力の一つです。天然繊維は植物繊維、動物繊維とさらに細かく分類できます。
素材の主成分は、植物繊維がセルロース、動物繊維がタンパク質となっています。このように、天然繊維は採取される場所や主成分によって、異なる特性を有していることが特徴です。

化学繊維

化学繊維とは、自然界にあるものを原料に化学的処理を施した繊維、または石油などを原料として人工的に合成した繊維のこと。速乾性、伸縮性、耐久性など多様な機能性を持ち、服や産業資材など、わたしたちの身の回りの様々なアイテムが化学繊維で作られています。化学繊維は主成分や製造方法によって、「再生繊維」「半合成繊維」「合成繊維」「無機繊維」の4種類に細かく分類されます。

主な天然繊維の種類と特徴

まずは天然繊維の詳しい種類や特徴について、わかりやすく解説していきます。

綿(コットン)

綿(コットン)は、アオイ科の植物である綿花の種子の周りの繊維から作られる植物繊維で、紀元前から人類の衣料として使われていました。柔らかく優しい肌触りと優れた吸湿性が大きな魅力で、Tシャツやインナー、タオル、寝具など、肌に直接触れる製品に多く使われています。天然繊維である綿は合成繊維と比較すると、環境負荷が少ないとされている素材です。特に農薬や化学肥料を使わずに生産されたオーガニックコットンが注目を集めています。一方で、綿はシワになりやすく乾きにくいという欠点もあり、取り扱いに手間がかかる点には注意が必要です。このように、綿は環境負荷の問題にも対応した素材として、環境意識の高い消費者から選ばれるようになっています。

麻(リネン)

麻(リネン)は、主に亜麻という植物の茎から採取される植物繊維のこと。独特の涼しい肌触りと優れた吸湿性が大きな魅力です。また、天然繊維の中でも綿などと比較すると乾きやすい性質があり、夏の衣料に適した素材として重宝されています。ただし、ポリエステルなどと比べると乾燥にはやや時間がかかるほか、しわになりやすいというデメリットもあります。麻はシャツ、ワンピース、パンツなどに使用されることが多く、暑い季節には清涼感のある快適な着心地を提供する素材として人気です。

羊毛(ウール)

羊毛(ウール)はその名の通り、羊の毛から採取される動物繊維です。優れた保温性を持つため、ウール素材の洋服は体温を逃がさず、温かさを保ちます。また、吸放湿性にも優れているため、蒸れることのない快適な着心地につながっています。ただし、洗濯によって縮みやすいことや、虫食いの被害にあいやすい点などは、日常ケアの面で気をつけなければいけません。羊毛と同じような素材にカシミヤ、アルパカ、モヘアといった獣毛もあります。

絹(シルク)

絹(シルク)は蚕(かいこ)の繭から作られる動物繊維です。上品で美しい光沢や、なめらかな肌触りを持ち、「繊維の女王」と称されています。古くには絹(シルク)の輸送路をシルクロードといったように、高級素材として重用されていました。唯一無二の特長を持ちますが、非常にデリケートな素材であることを忘れてはいけません。長時間の紫外線によって黄ばむ、摩擦に弱い、虫食いにあいやすいなどの特徴があり、取り扱いには細心の注意が必要です。

主な化学繊維の種類と特徴

化学繊維の種類や特徴についても、詳しく知っていきましょう。

再生繊維

再生繊維とは主に木材パルプのような天然の素材を化学的に溶かした後、繊維状に再生した素材のことです。代表的な再生繊維であるレーヨンは、絹のような光沢とドレープ性、肌触りを持つ点が大きな特徴。再生繊維は吸湿性も高いため、インナーや服の裏地などに広く使われています。

半合成繊維

半合成繊維とは、セルロースやタンパク質などの天然の素材を原料とし、化学的に一部改質して作られる繊維のことです。天然繊維と合成繊維の中間に位置する素材といえるでしょう。再生繊維と同様に美しい光沢やドレープ性などを持っています。

合成繊維

合成繊維は主に石油を原料とした化学物質から、人工的に合成される繊維のことです。ナイロン、アクリル、ポリウレタンなど多くの種類がありますが、特にポリエステルは最も身近な合成繊維として有名。ポリエステルは、優れた速乾性や耐久性が大きな特徴で、虫食いの被害にもあいにくいため、日々のお手入れが非常に楽な素材です。また、使用済みのペットボトルや繊維製品などを原料としたリサイクルポリエステルは、廃棄物問題の解決に貢献できる素材としても注目されています。ちなみに、帝人フロンティアの「エコペット」もリサイクルポリエステル繊維の一つです。

繊維や素材を理解して、目的やシーンに合った服を選びましょう

この記事では服に使われる繊維(天然繊維、化学繊維)の基礎知識をわかりやすく解説しました。地球環境に元来存在する自然由来のものから作られる天然繊維と、多用な機能性と便利さを持つ化学繊維は、種類によって大きく違う特性を持っています。それぞれの特性を理解した上で、着用シーンや機能、環境への配慮などに合わせて使い分けることが大切です。今回得た知識をもとに取り扱い表示を見ると、服を新たな視点で捉えられるのではないでしょうか。

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