アパレル業界の新常識? エシカルコンシャスの意味と企業が取り組むべき理由

「エシカルコンシャス」という言葉をご存知でしょうか。
まだまだ認知度の低い言葉ですが、アパレル業界において大切な考え方を示しています。エシカルコンシャスという言葉には、なんとなく「環境配慮」や「社会貢献」のイメージがあるかもしれませんが、具体的な意味や取り組み内容を説明できる人は少ないはず。消費者のエシカル消費への関心が高まる中、エシカルコンシャスな考え方の重要性も高まっています。
この記事では、エシカルコンシャスの定義や企業がエシカルコンシャスに取り組むべき理由、その具体的な取り組み例をわかりやすく解説します。
エシカルコンシャスとは
エシカルコンシャスという言葉を聞いたことがない人も多いはず。まずは言葉の定義をご紹介します。
エシカルとは?
エシカルとは、ethics(倫理、道徳)に由来する言葉であり、「倫理的・道徳的な配慮に基づいた行動や選択」を意味します。アパレル業界で「エシカル」が用いられる場合には、特に製品の生産工程や個人の活動における、人、動物、地球環境への配慮に焦点を当てています。エシカルはエコやサステナブルとも密接な関係がありますが、それぞれの言葉の示す範囲は少し異なるため、区別して考えることが大切です。
エシカルコンシャスの意味
エシカルコンシャス(ethical conscious)の「conscious」は「意識的な」という意味を持ちます。「エシカルを意識した製品」であることを示すためにエシカルコンシャスという言葉が使用されています。
つまり、両者を整理すると、「エシカル」は、人権や労働環境、動物、地球環境などに配慮した倫理的な取り組み全体を示す言葉です。一方で、「エシカルコンシャス」とは、そうしたエシカルな視点を意識的に取り入れることを指します。
エシカル消費との違い
エシカルコンシャスと同じような言葉にエシカル消費もあります。エシカル消費は人や動物、環境負荷へ配慮をした消費行動を指しますので、エシカルコンシャスな製品を購入することも、「エシカル消費」の中の一つと位置づけられるでしょう。エシカル消費については、以下のコラムでも詳しく解説しています。
エシカルコンシャスが求められる背景
なぜ、エシカルコンシャスという言葉が生まれたのでしょうか。その背景をわかりやすく解説します。
環境問題や社会問題の顕在化
アパレル業界においても、環境問題や社会問題など多くの問題が発生しています。例えば、ごみの大量廃棄問題、資源の枯渇問題、労働者の賃金問題などです。これらの問題を解決し、アパレル産業を持続的なものにするためにも、エシカルコンシャスな製品が求められています。
SDGsの浸透
持続可能な開発目標(SDGs)が、2015年の国連サミットで採択されたことも、エシカルコンシャスな製品が求められる背景の一つといえます。SDGsが一般的に浸透したことで、環境・社会問題への関心が高まりました。
今では、「SDGsが示す取り組み」を知らない人の方が少ないかもしれません。ちなみにエシカルな行動は、SDGsのゴール12「つくる責任 つかう責任」に該当します。
エシカル消費の認知度が向上
エシカル消費という言葉自体も、徐々に浸透してきています。消費者意識調査によれば、2016年から2020年の4年間で「エシカル消費」の認知度が約2倍に増えたことが確認されています※。
また、エシカル消費につながる商品・サービス購入意向も上昇しています。エシカル消費の認知度の向上と共に、エシカルな商品やサービスに関心を持つ人が増えてきていると考えられます。
エシカルコンシャスの具体的な取り組み事例※
それでは、どのような取り組みがエシカルコンシャスとつながってくるのでしょうか。具体的な取り組み事例を3つ紹介します。
人や社会への配慮
製品を生産する上で多くの労働者や、その労働者が所属する社会が関係しています。労働者が低賃金で働いている場合もありますが、消費者が購入する時には、なかなかその背景が見えにくいのが現状です。
労働者の環境や賃金を適正にするために、フェアトレード(開発途上国の製品などを適正な価格で継続的に購入することで、立場の弱い開発途上国の生産者・労働者の生活改善と自立を目指す仕組み)をはじめとした、製品の生産に関わる人全員が豊かになるような取り組みが必要です。また、自社での取り組みを主張するだけではなく、第三者認証を取得し、その認証ラベルを通じて客観的に示すことが大切です。
自然環境への配慮
地球規模で顕在化してきている環境問題の抑制に取り組むことも大切です。例えば、今まで行っていた製品の大量生産・大量消費を見直し、資源の有効活用を目指していくことも一つの方法でしょう。
ちなみに、帝人フロンティアの「エコペット」は使用済みのペットボトルや衣料品、繊維くずを原料に製造されたポリエステル繊維です。限りある石油資源の節約や廃棄物の抑制に貢献できる自然環境に配慮した素材といえます。
地域への配慮
人や社会、自然環境に加えて、地域に対して配慮することも重要です。例えば、遠くの地域から製品やサービスを取り寄せるのではなく、地産地消を意識する取り組みなどがあります。地域の品物を積極的に選ぶことは、その地域を応援することにもつながります。
エシカルコンシャスとは、人、社会、環境に配慮した製品のこと
この記事では「エシカルコンシャス」という考え方の意味や企業が取り組むべき理由などについて解説しました。原料の選定から生産、廃棄に至るすべてのプロセスにおいてエシカルであることは、今や常識といっても過言ではないでしょう。
消費者のエシカルな取り組みへの関心が高まる中、「エシカルコンシャス」に積極的に取り組む姿勢が求められているといえるでしょう。