リサイクルポリエステルは汚い? 製造工程から品質まで徹底解説

ペットボトルと古着

環境に配慮した素材として注目を集めるリサイクルポリエステル。しかし、「ペットボトルや古着を原料に作られているなんて、なんだか汚そう…」と感じる人もいるようです。でも、安心してください。結論から言うと、「リサイクルポリエステルは汚い」という考えは大きな誤解であると言えます。

リサイクル工程では洗浄工程や化学分解などの工程があるため、清潔で高品質な素材が作られています。
この記事では、リサイクルが汚いイメージを持つ理由とリサイクルポリエステルの工程を詳しく紹介します。

リサイクルポリエステルの品質や製品については、下記の記事でも紹介しています。

リサイクルポリエステル=汚いは誤解?

なぜ、リサイクルポリエステルは汚いといった誤ったイメージが存在するのでしょうか。その2つの原因について、解説します。

リサイクル原料に対する誤解

リサイクル=汚いという誤解が生まれる要因の一つは、原料が「廃棄物(ごみ)・使用済・中古品」であるというイメージです。これらの単語を聞くとネガティブなイメージを持つ人も多いはず。
例えば、使用済みの古着の場合、実際は清潔であっても「汚れが付着していそう」といった印象を持つ方が多いかもしれません。

情報不足が招く誤解

リサイクルポリエステルに対して、「汚い」イメージを持ってしまう背景の一つには、リサイクルプロセスに対する情報不足があります。多くの人はリサイクルポリエステルの製造現場を見る機会がないため、どうしても清潔なイメージがしにくいのです。
実際には、後述するように、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルでは、様々な工程を経て品質を保っています。

リサイクルポリエステルの工程と衛生管理

リサイクルポリエステルに対して正しいイメージを持つためには、具体的な工程を知ることがその第一歩です。2つのリサイクル方法について、工程と衛生管理をみていきましょう。

マテリアルリサイクル

リサイクルポリエステルのうち、使用済みペットボトルを原料とする場合には、主にマテリアルリサイクルが適用されます。マテリアルリサイクルの工程は次の通りです。

 ペットボトル → 粉砕・洗浄・溶解 → リサイクルポリエステル繊維等

使用済みペットボトルは、回収後に異物や汚れを除去するため、丁寧に分別・洗浄・溶解されます。こうした工程を経て、清潔なリサイクル原料として再利用できるようにしています。

ケミカルリサイクル

廃棄された衣服や使用済みの繊維製品を原料としたリサイクルポリエステルは、主にケミカルリサイクルが 適用されます。ケミカルリサイクルの工程は次の通りです。

 裁断くず・繊維くず →  破砕 → 化学分解 → 重合 → リサイクルポリエステル繊維等

化学分解の工程で元の原料にまで戻した上で、再度合成(重合)されるため、石油から新たに生産したポリエステルと同等の素材が得られます。繊維を分子レベルまで分解して不純物を徹底的に取り除くため、リサイクルでありながら清潔な素材として安心して利用できます。

帝人フロンティアの「エコペット」の生産工程と特長についてはこちらをご覧ください。

リサイクルポリエステルと石油由来ポリエステルとの違い

リサイクルポリエステルと石油由来ポリエステルは原料が異なりますが、素材としてどんな違いがあるのでしょうか。詳しく整理してみました。

見た目や手触りは同等

リサイクルポリエステルは石油由来ポリエステルと原料が異なりますが、リサイクル工程を経てもポリエステルの基本構造は変わらないため、生産される素材は同じポリエステルです。
そのため、見た目、手触りなどは基本的に同等の性能を持っています。目の前に両方の繊維を揃えられたとしても、その違いを見分けるのは不可能といえるでしょう。

引張強さや耐久性等の機能面も同等

リサイクルポリエステルのうち、マテリアルリサイクルを経た場合 は、引張強さや耐久性は、石油由来ポリエステルよりも劣る場合があります。一方で、ケミカルリサイクルは化学分解によって、原料まで戻ることから、石油由来ポリエステルと同等の物性や機能を維持できるのです。

リサイクルポリエステルは枯渇性資源の消費抑制につながる

見た目や手触り、引張強さ、耐久性等の物性や機能面が同等な中で、リサイクルポリエステルは枯渇性資源の消費抑制につながることが大きなメリットです 。
ちなみに帝人フロンティアの「エコペット」も、マテリアルリサイクルおよびケミカルリサイクルを用いて生まれ変わらせた原料を使用したリサイクルポリエステル繊維です。

リサイクルポリエステルは、環境にも人にもクリーンな素材

この記事では、「汚い」と誤解されてしまいがちなリサイクルポリエステルについて解説しました。実際には、リサイクルポリエステルの製造過程では、品質を保つための様々な工程あります。これは、マテリアルリサイクルは分別・洗浄工程を経て、ケミカルリサイクルは化学的な分解・精製工程を経て、生産されるためです。また、技術の進歩により、その品質や耐久性も従来のポリエステルと遜色ないレベルにまで向上しています。
リサイクルポリエステルは環境負荷を減らし、限りある資源を有効活用するための重要な素材です。正しい知識を持ち、環境に優しい選択を行っていくことが大切といえるでしょう。

リサイクルポリエステルの品質についてや、リサイクルポリエステルを使用した製品については、下記の記事で紹介しています。是非ご覧ください。

ALL