アップサイクルの魅力! 定義やメリット、具体的な取り組み事例まで深掘りして解説

使わなくなったモノを、そのまま捨ててしまうのは「もったいない」と感じる方は多いでしょう。最近では、そのモノに新たな付加価値を与える「アップサイクル」に注目が集まっています。アップサイクルでしか得られないデザイン性やストーリー性の高さが、新たな製品の魅力になります。
この記事では、アップサイクルの定義や取り組み方、具体的な事例などを詳しく紹介します。
アップサイクルの基本
まずはアップサイクルの基本として、定義や求められる背景などをみていきましょう。
アップサイクルの定義
アップサイクル(Upcycle)とは、「使われなくなった製品や素材を使って、より価値のある製品に作り替えること」です。主に「価値の向上」に重点が置かれており、製品を単に再利用するだけではなく、例えば機能面やデザイン面などで魅力を付与する取り組みといえます。
また、最小限の加工で製品化することもポイントの一つで、大規模な工業プロセスではなく、中小企業や個人レベルでも行える事例も多くあります。
参考:アップサイクル|一般財団法人 環境イノベーション情報機構
アップサイクルが求められる背景
アップサイクルの背景には、世界的な廃棄物量の増加と環境への負荷があります。日本でも、最終処分場の残余年数が23.4年(2021年のデータ)と言われているように、ごみ埋立地のひっ迫も深刻です。
また、消費者の考え方としてもエシカル消費の認知が広がり、環境への配慮や社会貢献性を重視した製品が選ばれるようになってきました。
このような背景の中で、使わなくなったものに新たな価値を付与するアップサイクルにも注目が集まっているのです。
アップサイクルで得られる効果
アップサイクルの主な効果は、リサイクルと同様に、焼却や埋め立てが必要な廃棄物の量を減らすこと、および新たな資源の消費量を抑えることです。これにより資源やエネルギーが節約でき、二酸化炭素排出量の削減にも貢献できます。
また、製品に新たな価値を付与することは新たなビジネスにもつながり、経済的なメリットも得られるでしょう。さらに、愛着のある製品に新たな価値を創造することは、個人の感性や創造性を刺激し、豊かな人生にもつながるはずです。
アップサイクルの取り組み方
具体的にどのようにしてアップサイクルに取り組むと良いのでしょうか。取り組む時の視点や考え方を整理してみました。
素材の発見と収集
アップサイクルに取り組む第一歩は、「不要な製品」から「新たな価値を生み出せる再利用資源の一つ」へと認識を捉えなおすことです。例えば、色や柄などのデザイン、強度や防水性など製品本来の機能などに着目してみましょう。再利用資源を集められたら、洗浄や乾燥などの衛生的処理を施しておくことも大切です。
アイデアによる価値の付与
アイデアによる製品の価値向上は、アップサイクルの醍醐味でもあります。ただの再利用ではなく、デザイン性や機能性を付与するために良質なアイデアが必要です。なかなか良いアイデアが思いつかない場合には、日常の中からヒントを探してみましょう。また、アップサイクル製品を販売する場合には、製品が生まれたストーリーも考えておくことが大切です。
製品へ再生
アイデアが決まったら、さまざまな加工方法で具体的な製品に生まれ変わらせましょう。企業であれば加工委託先の探索、個人であれば加工に必要な道具や材料を揃えておくことが必要です。
アップサイクルの具体的な事例
具体的にアップサイクルに取り組んだ事例をいくつかピックアップして紹介します。
食品のアップサイクル
廃棄物問題の一つであるフードロスに対して、食品製造過程で出る副産物や、まだ食べられる部分を捨てずに新たな料理に転換することはアップサイクルの一つの方法です。例えば、ブロッコリーの茎をアップサイクルした「ブロッコリーの茎チップス」や梅酒に使った後の梅からできた「ホワイトチョコパレット」などの事例があります。
個人レベルでは食品をビジネスとするのは難しいかもしれませんが、普段の生活の中で、捨てる予定の食材を使った新たな調理方法を考えることも取り組みの一つといえます。
参考:第10回食品産業もったいない大賞 表彰事例集|農林水産省
衣服のアップサイクル
衣料品業界では、まだ着られるのに廃棄されてしまうファッションロスも問題となっています。そのような中、廃棄されてしまう服を「黒く染める」ことで新たな製品にアップサイクルした事例もあります。また、個人でできる着なくなった衣服のアップサイクルも重要です。例えば、破れてしまって捨てる予定のニットやセーターをアームウォーマーに再生したり、ジーンズをポーチやペンケースに生まれ変わらせたりすることができるかもしれません。
参考:適正在庫とアップサイクルによる大量廃棄問題の解決に向けた取組事例|環境省
使い捨て製品のアップサイクル
私たちの生活の中で、ビニール傘や割り箸を使い捨ててしまうことも多いのではないでしょうか。そんな使い捨て製品のアップサイクルに取り組んだ事例もあります。
例えば、回収した割り箸はデザイン性の高い家具や建材に、廃棄ビニール傘は防水性の高いバッグに生まれ変わっています。
アップサイクルでごみを減らして新たな価値を創造
この記事では、アップサイクルが単なる再利用ではなく、製品に新たな価値を付与する行為であることを解説しました。身近な場面で使われていた製品が、意外なアップサイクルにつながる可能性を秘めています。アップサイクルを常に意識することで、使わなくなったものを生まれ変わらせるきっかけを作れます。
ぜひ、この記事をきっかけにアップサイクルの視点を取り入れ、モノを長く使う新しいアクションを始めてみましょう。
帝人フロンティアの「エコペット」は使用済みペットボトルや繊維くず等を原料としたリサイクルポリエステル繊維素材です。使用済みペットボトルはマテリアルリサイクル工程を経て、繊維くずや衣料品はケミカルリサイクル工程を経ることで繊維として再生し、さまざまな衣料品・日用品・産業資材へと生まれ変わります。