プラスチックの中でリサイクルできないものとは?正しい見分け方と捨て方

毎日出るプラスチックごみを見て、「これはリサイクルできる?」「それとも燃えるごみ?」と、分別に迷った経験は誰にでもあるでしょう。誤った分別は、せっかく集めた資源を無駄にし、リサイクル工程に大きな負担をかけてしまいます。
この記事では、リサイクルを妨げる要因や、リサイクルにつながる個人の意識・心がけを解説します。正しい知識を身につけて、資源回収で迷いのない、効率的な分別を実現しましょう。
リサイクルを妨げる3つの要因
リサイクルへの取り組みは環境問題の解決として重要なアクションですが、実はリサイクルできないケースもあります 。どのような場合にリサイクルが難しくなってしまうのか、解説します。
複合素材の製品
一つの製品が複数の異なる素材(例えば、プラスチック、金属、紙、布など)の組み合わせで作られている場合、リサイクルは非常に困難です。例えば、木材とプラスチックを組み合わせたような製品は、そのままでは均質なリサイクル原料として利用できません。
たとえ、資源回収として出されていたとしても、結局は焼却または埋立処分されてしまうでしょう。素材ごとに取り外しやすいように設計された製品もあるため、捨てる際に素材ごとに解体・分離できるものは解体することが大切です。
素材が不明なもの
リサイクルを行う上で、素材の種類を特定することは非常に重要です。
しかし、製造時に付与される素材表示ラベルが剥がれてしまったり、判別できない状態になっている場合は、どのような素材かわかりません。特にプラスチックは、形状や見た目が同じでも、素材の性質や特徴は大きく異なります。
素材や素材の混合率がわからなければ、リサイクルの可否やリサイクルの方法が判断できず、結局は焼却または埋立処分されてしまうでしょう。
著しく汚れているもの
食品や油、泥汚れ、化学物質などで著しく汚れていたり、汚れが付着しているプラスチックは資源ごみとして回収されたとしても、不純物を取り除く工程で多大なエネルギーや水を必要とします。そのため、リサイクル前の不純物を取り除く処理にエネルギーとコストがかかるだけでなく、リサイクル工程の後にリサイクル品の品質を低下させる原因にもなります。
例えば、マヨネーズや油が残った容器、泥まみれのプラスチックなどは、資源として回収されても、リサイクルや前処理に投入されることもなく、焼却されてしまうことが多いです。
リサイクル可能なプラスチックの具体例
それでは、どのような製品であればリサイクルが可能なのでしょうか。具体的な例をピックアップして解説します。
容器包装プラスチック
食品トレイ、レジ袋などの商品を包装していた容器包装プラスチックは、分別、資源回収される自治体であれば、リサイクルされます。プラスチック全体では約100種類ほどありますが、容器包装プラスチックに該当するのはその内の10種類程度です。
回収された後の容器包装プラスチックは、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルにより有効活用されます。
ペットボトル
ペットボトルはプラスチックの中でもポリエチレンテレフタレート(PET)単一成分で作られており、分別・回収システムが確立されています。ただし、高品質なリサイクル原料とするためには、ラベルやキャップを取り除いた上で、中を軽く水ですすいでおくことが必要です。
回収されたペットボトルは、新しいペットボトルや、シート、合成繊維、成型品などにリサイクルされます。
着なくなった合成繊維製の衣服
最近では、着なくなった合成繊維製の衣服の再生利用(リサイクル)の取り組みも広がってきています。衣服は、天然繊維や合成繊維が複数組み合わされた生地で、さまざまな素材、樹脂などの副資材で構成されています。合成繊維の中でも、ポリエステルは、ボタンやチャックなどのプラスチック(ポリエステル)以外の副資材部分を除去した後、ケミカルリサイクルを通じて新たな合成繊維として再生できます。
ちなみに、帝人フロンティアの「エコペット」は、マテリアルリサイクルおよびケミカルリサイクルを用いて生まれ変わらせた原料を使用したリサイクルポリエステル繊維です。
リサイクルにつなげる個人の意識
廃棄されてしまうプラスチックを減らし、リサイクル資源に活用できるようにするには、一人ひとりの意識、心がけが重要です。今日から意識したい3つの取り組みをピックアップして解説します。
分別ルールを理解する
自治体や地域によっては、分別・資源回収のルールの有無、回収対象の区分や基準などが異なります。その地域でのルールを理解し、正しく分別することが、リサイクルを円滑に行うために重要です。
例えば、「マークの有無」「複合素材か否か」「容器包装か否か」といった判断基準を把握することで、適切な分別回収につながります。特に居住地が変わった場合には、必ず新しい地域のルールを確認しましょう。
プラスチックを適切に洗浄する
リサイクルを妨げる要因の一つに「汚れ」があります。
プラスチックをリサイクルに出す前には、必ず中身を空にして軽く水で洗い、付着した汚れを取り除きましょう。汚れが取りにくい場合には、使い古した布や紙で拭き取る方法もあります。こうしたちょっとした手間が、リサイクル率の向上に大きく役立ちます。
リサイクル素材の製品を選ぶ
新たな製品を購入するときに、リサイクル製品を意識的に選ぶことも大切です。
リサイクル製品は、分別・資源回収を通じてリサイクルされた原料を用いて作られています。新たな資源の消費を抑えられるとともに、リサイクルの促進にもつながるでしょう。
プラスチックの適切なリサイクルは小まめな取り組みが鍵
この記事では、プラスチックのリサイクルを妨げる要因として、「素材が不明なもの」「汚れているもの」といった例を解説しました。
リサイクルを推進するために重要なことは「地域のルールに基づいた地位kでの分別、資源回収のルールを理解すること」と「洗浄のひと手間」です。
資源として洗浄・分別することはい分別は、リサイクル率の向上と環境負荷の低減に直結します。
この記事で得た知識を活かして、迷わず分別し、持続可能な社会の実現に貢献していきましょう。