持続可能な社会を作るエコデザインとは? 基本的な定義と取り組み例を詳しく解説

現代では、環境問題や資源の枯渇が深刻化しています。その中で、製品の作り方や設計を見直すことが重要になってきています。そこで注目されているのが「エコデザイン」という考え方です。これは製品のライフサイクル全体を通して、環境負荷を抑えることを目的とした設計思想です。
この記事では、エコデザインの基本的な定義や従来設計との違い、具体的な取り組み事例を解説します。

エコデザインとは

そもそもエコデザインは、従来の製品設計とどのように異なるのでしょうか。その違いの比較やエコデザインが求められる背景などを詳しくみていきましょう。

従来設計とエコデザインの違い

エコデザインとは、日本語で「環境配慮設計」とも呼ばれる企画・設計方法であり、製品のライフサイクル全般の環境負荷低減を目的としています。
従来の製品設計では、機能性や性能、コスト、デザインなどを主に考慮して設計・企画が行われており、生産時の効率性や使用時の効果などに注目していました。
一方で、エコデザインは製品の生産から廃棄までのすべての段階における環境負荷を、設計の初期段階で検討する方法といえます。

エコデザインが求められる背景

私たちは現在、自然界から資源を採取し、エネルギーを消費して製品を生産し、使用して廃棄する経済の中で生活しています。
これらの活動を行う中で、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出による地球規模の気候変動や天然資源の枯渇、廃棄物の増加など多くの環境問題も顕在化してきました。
これらの環境問題を解決するためにも、製品のライフサイクル全体で環境負荷を減らす必要があるのです。

国内外におけるエコデザインの動向

エコデザインの取り組みは主に欧州において活発であり、2009年に発効されたエコデザイン指令では、エネルギー関連製品に対するエコデザイン要件を設定する枠組みが確立されました。
さらに、2024年に発効した持続可能な製品のための「エコデザイン規則(ESPR)」は、エコデザイン指令を改正する規則として確立されています。
日本においても、2024年に経済産業省が「環境配慮設計のガイドライン」を公開しており、環境に配慮した製品を増やしていくためにも、エコデザインは重要な考え方といえます。

エコデザインの要件

エコデザイン規則の中では、製品が準拠すべき要件として、以下の16項目が定められています。


● 耐久性
● 信頼性
● 再利用可能性
● アップグレードの可能性
● 修理可能性
● 保守・回収の可能性
● 製品中の懸念物質の存在
● エネルギー使用とエネルギー効率
● 水使用と水資源効率
● 資源使用と資源効率
● リサイクル材の含有率
● 再製造の可能性
● リサイクル可能性
● 製品からの材料回収の可能性
● 製品の環境負荷影響
● 廃棄物発生量の予想


エコデザインでは、これらの要件を製品設計・企画段階で検討しておくことが求められます。

エコデザインへの取り組み例

エコデザインの基本を把握したところで、具体的にどのように取り組んでいったらよいのでしょうか。いくつかの取り組み例をピックアップして解説します。

使用する材料の選択

エコデザインにおける重要なステップの一つに、環境負荷の低い材料を選択することが挙げられます。
従来の設計ではコストや機能性が優先されがちですが、エコデザインでは「環境負荷」や「リサイクル可能性」「材料回収の可能性」なども含めて総合的に評価します。
例えば、リサイクル材や環境負荷の低さが客観的に確認されている天然素材、有害物質を含まない材料の採用が求められます。
ちなみに、帝人フロンティアの「エコペット」は、ペットボトルや繊維くず等をマテリアルリサイクルおよびケミカルリサイクルを用いて生まれ変わらせた原料を使用したリサイクルポリエステル繊維です。

製品の長寿命化

製品の寿命を延ばすことは、資源採掘および製品廃棄の頻度を減らすことに直結します。
設計段階において、「耐久性」「再利用可能性」「修理可能性」「廃棄物発生量の予想」といった要件を組み込むことで、環境に配慮しつつ、長く使用できる製品が作られます。
具体的には、耐久性の高い素材の採用や、部品交換を容易にする設計、修理しやすい設計などがあります。
また、製品を長持ちさせるだけではなく、修理サービスや保証といったビジネスモデルと連携させることで、顧客満足度を向上させつつ、エコデザインに合致した取り組みが可能です。

資源・エネルギーの効率的な使用

製品の製造時や使用時における資源・水・エネルギーを効率的に使用し、その消費量を最小限に抑えることも、エコデザインに取り組む上で重要です。
製造段階では、端材を極力抑える生産方法や、再生可能エネルギーの利用などが挙げられます。また、製品の使用段階においては省エネルギー性に貢献できるような設計が大切です。

リサイクル・廃棄の容易性

エコデザインでは、製品の廃棄段階を設計の初期段階から想定しておくことが必要です。
製品が寿命を迎えた場合に、可能な限り容易に資源に戻せるような設計をすることを指します。
例えば、複数素材で組み合わせた製品であれば素材ごとに分解しやすい設計にしたり、リサイクルが容易な素材を積極的に採用したりする方法があります。

エコデザインへの取り組みが私たちの未来を作る

この記事では、エコデザインの基本と取り組み例をご紹介しました。
エコデザインは、製品のライフサイクルを見据えて、環境負荷を低減するための重要な設計思想といえます。
持続可能な社会を実現するためにも、設計の初期段階から製品ライフサイクル全体を意識したエコデザインを取り入れることが重要です。

帝人フロンティアの「エコペット」は使用済みペットボトルや繊維くず等を原料としたリサイクルポリエステル繊維素材です。使用済みペットボトルはマテリアルリサイクル工程を経て、繊維くずや衣料品はケミカルリサイクル工程を経ることで繊維として再生し、さまざまな衣料品・日用品・産業資材へと生まれ変わります。このようにリサイクルポリエステルを素材として採用することは、製品の環境配慮を設計段階から考えるエコデザインの一要素といえるでしょう。
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