Interview

ランナーの声が生んだTABIO SPORTS。そのロングセラー商品「レーシングラン」シリーズ最新作「ナノグリップ」を支える、「エコペット ナノフロント」。

履き心地とファッション性を兼ね備えたソックスをはじめ、さまざまなレッグウェアを手掛ける会社、タビオ。

「靴下屋」で知られている同社だが、2006年からはスポーツソックスのレーベル「TABIO SPORTS」をスタートさせており、ランニングやサッカーなどのスポーツ分野でも評判を呼んでいる。

そのTABIO SPORTSの人気商品「レーシングラン」シリーズの新作「レーシングラン ナノグリップ」に採用されているのが、リサイクルポリエステル「エコペット」で作られたナノレベルの極細繊維「ナノフロント」。サステナブルでありながら、高いグリップ力や吸汗拡散機能を持ち、肌に優しいなどのさまざまな特徴を兼ね備えた機能性繊維だ。

その開発に至るまでの経緯や環境に対する思いについて、TABIO SPORTSブランドを担当し、靴下ソムリエの資格も持つ田口喜広氏にお話を伺った。


– 2006年からスタートした「レーシングラン」シリーズは、ランナーの方々からも非常に評価が高いようですね。

Tabioの公式webでは、お客様のコメントを見ることができるのですが、どの商品も好意的な評価を頂いており、非常にありがたいです。

とはいえ、TABIO SPORTSのソックス開発当初は、当社が運営するレディースの靴下専門店である「靴下屋」のユーザーとターゲットが異なっていたため、既存店舗で展開しにくいなど、苦労もありました。「それならお客様のところに行くしかない」ということになり、マラソン大会でランナーさんの声を聞くことにしました。こうした活動から、ランナーさんのニーズを反映した商品を作ることができました。

– 新商品「レーシングラン ナノグリップ」にリサイクルポリエステル「エコペット」で作られた「ナノフロント」を採用した経緯を教えてください。

「レーシングラン」シリーズのグリップ力には、これまではシリコンラバーを使用してきました。シリコンは、グリップ力を出すには優れた素材です。しかし、靴下に張り付けるという構造から、人によっては違和感を覚える方もいます。グリップ性を保持しながらより素肌感覚に近い履き心地を実現できないか、と考えた時に、以前から機能性繊維をご紹介いただいていたテイジンさんにご相談しました。

「レーシングラン ナノグリップ」に使用している「エコペット ナノフロント」は2021年の春に開発されたばかりの素材でした。単に機能性が高いだけでなく、ペットボトルや繊維製品の生産工程ででる繊維くずを原料としている点もいいですね。当社が環境配慮型の素材の採用を進めていることもあり、現在の環境課題に対応したニーズにマッチした素材だと思います。

– この「レーシングラン ナノグリップ 五本指」や「レーシングラン ナノグリップ 3D」を履いてランニングすると、足×ソックス×シューズが一体となった感覚を味わうことができますね。

つま先から踵にかけてのソール部分に「ナノフロント」を使用しているので、靴下とシューズだけでなく、足裏との摩擦やズレも軽減でき、踏み出す力のロスを少なく抑えることができます。さらに、土踏まずをサポートする構造により、足裏の負担を減らして疲労を抑える設計にしています。

つま先から踵にかけての立体的なシルエットが特徴的ですね。

足の形に沿って右足と左足のつま先の形状を変えています。また、つま先の縫い目をなくした立体的な形状のため、足全体にフィットして快適に着用できます。さらに甲の部分はメッシュ地にしているため、サラッとしたドライな着用感も好評です。

カラーバリエーションが豊富なのも魅力的ですね。

これは、TABIO SPORTSの一つの特徴ですが、女性ユーザーが4割強と多いことがあげられます。また、ランニングの際には思った以上にソックスが目立つので、シューズのトレンドに合わせたカラーバリエーションを充実させています。自分に合ったソックスを色違いで購入して気分に合わせて使い分けたり、シューズとのコーディネートを楽しんだりしているお客様も多くいらっしゃいます。

– もともとはランニング用に開発された「レーシングラン ナノグリップ」ですが、その滑りにくいという特徴から、ランニングだけでなく、さまざまなニーズに応えることができそうですね。

そうですね。以前にツイッターで「マタニティー用に滑らない靴下いりますか?」というフレーズをつぶやいたところ、妊婦さんから非常に良い反応を頂いて、2000件近くリツイートされていました。そんなこともあり、さまざまな方にご活用いただけるかもしれないという可能性を感じています。

– 今後のTABIO SPORTSの展開についてお聞かせください。

2025年までにはTABIO SPORTSのすべてのソックスに使用されているポリエステル素材を環境配慮素材に置き換えていくことを目指しています。「レーシングラン」の「ナノフロント」以外のポリエステル繊維もリサイクル原料を使用しています。

– 「エコペット」をはじめとしたテイジンの繊維に、さらなる要望などはありますか?

お客様からの要望で最も多いのは、耐久性ですね。それに加えて、薄さと軽さも非常に重要なポイントだと思います。タビオの創業者は常々「靴下は第二の皮膚」ということを申し上げているのですが、機能性やファッション性を付加しながら、靴下を意識することなく着用できるのが大事だと考えています。

そのためにも、テイジンさんの協力も頂きながら「薄くて、軽くて、強い」快適な着用感と高い機能性を兼ね備えたソックスの開発を進めていければと思っています。

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