廃棄プラスチック問題の解決策? リサイクルの現状と基礎知識

プラスチックごみ リサイクル

廃棄プラスチック問題が世界中で深刻化する中、リサイクルは重要な解決策の一つです。しかし、リサイクルの仕組みやメリットを正しく理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。この記事では、日本国内におけるリサイクルの現状と基礎知識を詳しく解説します。

廃棄プラスチックをリサイクルするとなにになる?

リサイクルされた廃棄プラスチックは、どのように活用できるのでしょうか。一般的なリサイクル方法として、マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルにフォーカスして、ご説明します。

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルとは、回収した廃棄プラスチックを粉砕、溶解して新たなプラスチック製品に再生する方法です。廃ペットボトルを原料にしたペットボトルやポリエステル繊維、包装資材、コンテナなどで広く活用されています。

ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルとは、廃棄プラスチックを化学的に分解し、原料として再利用する方法です。例えば、分解して化学製品などに利用可能な合成ガスへ転換する「ガス化」、化学分解して油を製造する「油化」、コークスの代用とする「高炉原料化」、化学分解してもとの製品原料やモノマーに戻す「原料・モノマー化」があります。

ケミカルリサイクルはエネルギーの使用量やコストが高いことがデメリットですが、最近のサステナブル意識の醸成にともなって解決されうる課題です。

廃棄プラスチックをリサイクルするメリット

廃棄プラスチックのリサイクル方法を解説しましたが、そもそもリサイクルにはどのようなメリットがあるのでしょう。改めて利点を整理してみました。

石油資源の節約につながる

プラスチックを生産するための原料は、主に石油や天然ガスなどの石油資源です。しかしリサイクルをした場合、廃棄プラスチックを原料として新たな製品を作りだすため、石油資源の採掘量を減らす効果があります。
石油資源はプラスチックだけではなく、ガソリンや発電など我々の生活を支えるエネルギー源です。埋蔵量の限られた石油資源を有効活用するためにも、廃棄プラスチックのリサイクルは大切です。

地球温暖化の防止につながる

地球温暖化は台風の大型化や線状降水帯の発生など、我々の生活にも多くの影響を及ぼしています。その原因のひとつといわれているのが、大気中の二酸化炭素濃度です。廃棄プラスチックを焼却処分した場合、多くの二酸化炭素が大気中に放出され、地球温暖化を悪化させることになります。

しかし例えばペットボトルをリサイクルすると、リサイクルしない場合と比較して約42%の二酸化炭素排出量の削減効果が見込まれるという調査結果があります。地球温暖化を抑制する意味でも、廃棄プラスチックのリサイクルは重要です。

エネルギーの削減

プラスチック製品を製造するためには、原料の採掘や加工、輸送などに多くのエネルギーが必要になります。しかし電気やガスなどのエネルギーは、私たちが生活するうえで必要なものです。
限りあるエネルギーは有効に配分して活用することが大切です。特にペットボトルをリサイクルすると、新たに製造するよりもエネルギーを削減できます。

廃棄プラスチックからのリサイクルの現状

廃棄プラスチックからのリサイクルには多くのメリットがありますが、実際にはなかなか進んでいません。世界や日本のリサイクルの現状をご紹介しましょう。

世界のリサイクル率は約9%

1950年以降、現在まで多くのプラスチックが生産されていますが、その中でリサイクルされているのは9%程度といわれています。残りの90%以上は埋立てまたは海洋等への廃棄としての処分です。
このような現状を打破するために、先進国を中心に世界各国でさまざまな対策が打ち出されています。

日本のリサイクル率は約80%

日本のリサイクル率は世界中の国と比較しても、高いリサイクル率を誇っています。ただし焼却時の熱エネルギーとして使用される割合が大きいため、資源を循環できているとはいい難い状況です。
各産業界でも廃棄プラスチック削減や資源回収に関する取り組みが進んでいます。

私たちにできること

上記のような現状の中で、私たち個人はどのように取り組めばいいのでしょうか。明日からできる対策をご紹介します。

リサイクル製品を購入する

従来廃棄されていたプラスチックからのリサイクルで生産された製品はまだまだコストが高いイメージ。購入するには二の足を踏む人もいるかもしれません。
しかしリサイクル製品の需要が多くなれば、廃棄プラスチックの利活用に政府や企業も投資をしやすくなります。結果的にコストが下がることにもつながり、リサイクル製品を購入しやすくなるでしょう。

長く使える製品を選ぶ

使い捨てペットボトルやビニール袋は便利ですが、気軽に購入してしまうとすぐにゴミになります。これらのワンウェイプラスチックはごみが増える原因の一つです。マイボトルやエコバックなど、何度でも長く使えるアイテムを使うように心がけてみましょう。

廃棄プラスチックを分別する

廃棄プラスチックをリサイクルする上で、一番のネックとなるのは分別です。私たちがきちんと分別して廃棄することは、スムーズなリサイクルにもつながりますよ。

まとめ

世界中で大きな問題となっている廃棄プラスチック問題。解決策としてリサイクルと減量の両方が必要です。産業界ではプラスチック使用量削減やリサイクル率向上に向けた取り組みが進んでいます。
個人でもプラスチックの使用を減らすために、マイバッグやマイボトルなどの持参を心がけてみてはいかがでしょうか。

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