再生ポリエステルとは?環境問題への貢献と活用事例を徹底解説

再生ポリエステル

環境問題への意識の高まりとともに、一般生活者の間で資源の循環に貢献できる素材への関心が高まっています。そのような中、従来のポリエステルに代わる素材として注目を集めているのが再生ポリエステルです。この記事では、再生ポリエステルの特徴、メリット、そして活用事例について詳しく解説します。

再生ポリエステルってどんなもの?

再生ポリエステルとはどんな素材を指すのでしょうか。定義や特徴を解説します。

原料に石油資源を使わないポリエステル

ポリエステルは一般的に限りある石油資源を原料にして作られます。しかし石油資源は、残り50年程度しか採掘できないといわれています(2020年末のデータ)※1。新たな石油資源の発見などで年数が伸びるかもしれませんが、いずれは枯渇するでしょう。また、近代の社会では大量生産・大量消費により経済成長してきたため、廃棄物の増加も問題になっています。

そのような中で再生ポリエステルは、廃棄プラスチックを原料とする素材。資源枯渇問題を解決し、廃棄物を抑制できる素材として注目が集まっています。例えば「エコペット」はペットボトルや繊維くずを原料にした再生ポリエステル繊維です。

特徴は通常のポリエステルと同等

ポリエステルといえば、耐久性が高い、乾きやすい、保管がしやすい、しわになりにくいなどのメリットを持つ素材です。再生ポリエステルは原料に石油資源を使わないだけで、特徴は通常のポリエステルと同等。洋服やインテリアなどさまざまな用途で活用できます。

再生ポリエステルの製造方法についてはこちらをご覧ください。

再生ポリエステルのメリット

ペットボトルやポリエステル製の廃棄衣料品・繊維くずなどの廃プラスチックを原料とする再生ポリエステル。どのようなメリットがあるのでしょうか。

自然環境を保護する

一般的なプラスチックは自然環境に放出されると、そのまま長期間分解されずに残ってしまいます。海に流れ出た場合は、海洋プラスチックとして漂流。その後、紫外線や波力で微細化されるとマイクロプラスチックに変化します。マイクロプラスチックは生物の体内に取り込まれる、有害物質を吸着するなど自然環境に大きな負荷をかける可能性があります。

ポリエステル繊維やペットボトルもプラスチックなので同様のことがいえます。廃棄されたペットボトルやポリエステル素材の製品を回収して再生ポリエステルとして生まれ変わらせることで、廃棄量を減らし資源を再利用することもあり、自然環境の保護ができます。

資源の有効利用

ポリエステル繊維は合成繊維の中でも生産量が最も多く、私たちの生活に必須の素材です。そのため、従来の石油資源を原料とするポリエステルではなく、廃プラスチックなどを原料とするリサイクルポリエステルを使用することで、資源の有効利用につながります。石油資源の消費を抑えられれば、近い未来に世界が資源不足に陥る可能性を減らせるでしょう。

廃棄物の削減

1年間に廃棄されるプラスチックの量は世界中で3億トン(2019年時点)以上 ※2 とされています。世界人口の増加に伴って、排出量も年々増加しているよう。そんな中、廃棄されるポリエステル素材の製品をリサイクルして再生ポリエステルに生まれ変わらせることができれば、廃棄物の削減につながります。

再生ポリエステルの活用事例

現在、再生ポリエステルはどのような場面で活用されているのでしょうか。いくつか事例をピックアップしてみました。

衣料品への活用

繊維産業の大部分を占める衣料品分野でも、再生ポリエステル繊維を使用したアイテムが多数存在します。また、廃棄される衣料品を回収し、再生ポリエステルに変える取組みも活動も。世の中は資源の循環に向けて動き出そうとしています。

100%ポリエステル繊維和紙素材

「和紙」といえば、4~5世紀頃に日本へ伝来し、約1,400年の歴史を持つ伝統的な素材です。そんな和紙素材にも再生ポリエステルを活用した事例があります。
通常のポリエステル繊維と再生ポリエステル繊維「エコペット」を混抄して作られた100%ポリエステル繊維和紙は、通常の和紙よりも高い強度を持ち破れない特性を持つ素材。従来の和紙は主に障子紙などに使われていましたが、ポリエステル繊維和紙は縫製によりトートバッグやランドリーボックス、ペンケース等にも使用できます。

まとめ

再生ポリエステルは従来のポリエステルに比べて、廃プラスチックを資源として再利用することから、廃棄物の量を削減できる環境に優しい素材です。技術の発達により、従来のポリエステルと同等の品質を実現しています。再生ポリエステルへの理解を深め、未来につながる選択をしてみてください。

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