ペットボトルはリサイクルで何になる? 生まれ変わった意外な姿とは…

プラスチック リサイクル 何になる

ペットボトル飲料を飲み終えた後、どのように処分しているでしょうか。実は廃ペットボトルはリサイクルによって、私たちの身近な製品に生まれ変わっているのです。この記事ではペットボトルをリサイクルする方法や、生まれ変わる製品について、わかりやすく解説します。

ペットボトルリサイクルの重要性

そもそもなぜ、ペットボトルのリサイクルは重要なのでしょうか。その理由について詳しく解説します。

サステナブルな社会に貢献できる

ペットボトルの原料であるPET樹脂は石油から生産されるため、ワンウェイで廃棄してしまうと資源を無駄に消費してしまいます。また、ごみになったり、焼却処分された場合には二酸化炭素を排出したりと、環境に負荷をかけてしまうことに……。
そこで廃ペットボトルを資源として捉えて、積極的にリサイクルして新たな製品に生まれ変わらせることが重要になります。資源の消費、廃棄に必要な二酸化炭素、そしてごみの排出を抑えることで、サステナブルな社会に貢献できるのです。

ペットボトルのリサイクル率は86.9%

現在、日本のペットボトルのリサイクルは86.9%(2022年のデータ)※とかなり高い割合を示しています。
1995年に容器包装リサイクル法が制定され、ペットボトルのリサイクルが推進されるようになってから約30年。ペットボトルを含めた容器のリサイクルは完全に定着したといっても過言ではないでしょう。
現在ではリサイクルした廃ペットボトルのリサイクル用途が格段に広がっています。

ペットボトルのリサイクル手法

ペットボトルのリサイクル手法には、ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルの2種類があります。それぞれどのような手法なのか見ていきましょう。

ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルとは、廃棄物を化学的に分解し原料として再利用するリサイクル手法のことです。
いったん、原料にまで戻すことから高純度のリサイクル品をつくることができます。その反面、後述するマテリアルリサイクルと比べてエネルギーの消費量や二酸化炭素の発生率も高くなってしまいます。
ただし、これらは技術開発によって解決しうる課題です。

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルとは、廃棄物を原料として再利用し、新たな製品に再生するリサイクル手法のこと。
廃棄物を破砕したり溶融したりする必要がありますが、化学的な処理を施す必要のあるケミカルリサイクルと比べると、少ないエネルギーでリサイクルができます。消費されるエネルギーが少なければ、排出される二酸化炭素の量も少なくなります。
また、再生紙やアルミ缶が昔からリサイクルされていたように、さまざまな素材に対して多くのリサイクル手法が確立されています。ただし、元の製品と同等の物性を得るのが難しい側面もあり、ペットボトル以外の形でリサイクルされるケースが多くあります。

ペットボトルを原料にしたアイテム

それではペットボトルのリサイクル品にはどのようなアイテムがあるのでしょうか。詳しく説明していきます。

ペットボトル

一度使ったペットボトルをもう一度ペットボトルへ……。現在では「ボトルtoボトル」と呼ばれる水平リサイクルの取り組みも浸透してきています。2021年の時点で「ボトルtoボトル」の割合は20.3%となっており、年々その比率が高まってきています。
サステナブルな社会の実現に向けて、資源の循環が実現されつつある一例といえるでしょう。

卵パック

ペットボトルはリサイクルによって身近なアイテムに生まれ変わっている場合があります。卵パックも廃ペットボトルを原料にしたアイテムの一つです。卵パックの原料がペットボトルであることを想像する人は少ないでしょう。
なお、柔軟に姿形を変えられるのはPETを含むポリエステル樹脂が持つ熱可塑性を利用しているためです。

再生ポリエステル繊維

ペットボトルは衣料品にも姿を変えることがあります。再生ポリエステル繊維「エコペット」もペットボトルが姿を変えたアイテムの一つ。
廃ペットボトルや繊維くずを原料にリサイクルされたポリエステル繊維です。従来の石油由来ポリエステル繊維と比べて二酸化炭素排出量が削減されていることが特徴。環境負荷の少ない繊維として洋服や寝具、カーテンなど日常のあらゆるシーンで利用されています。

まとめ

身近な製品としてあふれているペットボトルは、資源を循環させるためにも重要なアイテム。リサイクルされるとペットボトルや卵パック、再生ポリエステル繊維などに生まれ変わるのです。
そうしたサステナブル素材を増やしていくためにも、私たちがきちんと分別して廃棄し、廃ペットボトルもリサイクルできるようにしていきましょう。

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