プラスチックの原料ってなに? 意外と知らない環境問題との関連も詳しく解説

プラスチック 原料

私たちの生活に欠かせないプラスチック製品。その原料について、あなたはどれくらい知っているでしょうか?また、最近ではプラスチックごみやマイクロプラスチックによる海洋汚染なども注目されています。この記事では、プラスチックやその原料 がどのように環境問題につながっているのかを具体的に解説します。

プラスチックってどんな材料?

プラスチックといっても、その種類は多岐にわたります。プラスチックの定義をまずは確認してみましょう。

プラスチックの定義

プラスチックの定義は意外とあいまいで、明確かつわかりやすいものは存在していません。広辞苑でも「可塑性があり、加熱により軟化し、任意の形に成型できる有機高分子物質の総称」と説明されており、少しわかりにくいよう……。
多くの場合は「主に石油に由来する高分子物質を原料とした可塑性の物質」と定義されます。プラスチックの語源はギリシャ語の「plastikos」とされており、「固体に力を加えて変形させ、力を取り除いても元の形に戻らない性質がある」というような意味です。

プラスチックの種類

プラスチックには非常に多くの種類が存在しています。その中でも、私たちが日常的に目にする汎用プラスチックといえば、次のようなものでしょう。いずれも安価で加工性に優れるため、工業用品、生活用品問わず幅広く使用されています。

● ポリエチレン
● ポリプロピレン
● ポリスチレン
● ポリ塩化ビニル
● ポリエチレンテレフタレート(PET)

プラスチックの原料と環境への影響

プラスチックの原料には何が使われているのでしょうか。環境への影響を踏まえた上で解説します。

原料は主に石油を使う

プラスチックの定義にもあったように、原料には主に石油資源が用いられます。例えば、原油からナフサを精製して加熱、分解されることで生まれる 「エチレン」がポリエチレンの原料です。また、PETもナフサから精製した「エチレン」と「キシレン」からそれぞれエチレングリコールとテレフタル酸を作り、化学合成によって生産します。

石油の埋蔵量は限られている

世界の石油の可採年数は約50年とされています(2020年のデータ)。技術の進歩によって石油回収率や新たな資源の発見はされているものの、いずれは枯渇しうる 資源といえるでしょう。石油資源が主な原料である以上、プラスチックもいつかは石油から製造できなくなるかもしれません。
また、プラスチックの使用量が増えれば増えるほど、石油資源の枯渇を進行させてしまうことになります。そのため、石油を原料としないプラスチックへのシフトが求められています。

処分時には二酸化炭素が排出される

廃棄されたプラスチックは主に焼却または埋立によって処分されます。しかし、有機物を含むプラスチックは 焼却すれば二酸化炭素が排出されますし、埋立する場合でも回収・運搬などの工程で二酸化炭素を排出することに…… 。大気中の二酸化炭素濃度の増加は地球温暖化の原因ともされており、廃棄プラスチックが関わる環境問題の一つといえます。

さらに、プラスチックを埋立する場合は廃棄物を増やすことになりますし、川や海に流出するとマイクロプラスチック問題を引き起こすなど、処分には大きな環境負荷が伴うのです。

プラスチックのリサイクル

プラスチックが環境へ及ぼす影響を抑えるためには、リユース等のほか、リサイクルも重要な対策の一つです 。現在のリサイクルに関する状況を解説します。

廃棄プラスチックのリサイクル率

日本の廃棄プラスチックの排出量は年々減少しており、2022年時点では年間で823万トンでした。また、廃棄プラスチックの有効利用率も増えてきています。 ただし、新たな製品として生まれ変わらせるマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの割合は25%程度(2022年のデータ)。今後、さらなるリサイクル割合の向上が求められています。

ポリエステル繊維のリサイクルがターゲット

プラスチックリサイクルの中でも、最近注目を集めているのはポリエステル繊維のリサイクルです。PETはポリエステル繊維の一つであり、洋服や布団、家具などによく利用される合成 繊維です。

ポリエステル繊維では、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルなどの手法を駆使して、新たな製品に生まれ変わらせる取り組みが進められています。なお、「エコペット」も廃棄プラスチックの一部である廃ペットボトルや衣料品、繊維くずなどを 原料とした再生ポリエステル繊維です。

ポリエステル繊維の主な特徴は以下のコラムでもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

この記事ではプラスチックの定義や原料、リサイクルへの取り組みなどを詳しく解説しました。主に石油を原料に使用するプラスチックは様々な用途に活用しやすい等メリットが多い一方で、石油資源 の利用や処分時の二酸化炭素排出など環境に負荷をかけている素材です。
今後はリサイクルを中心とした廃棄プラスチックの有効利用が大事になってくるでしょう。

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