意外と知られていない現実!ファッションロスが地球に与える影響と私たちにできること

私たちが毎日着ている洋服には、実は重大な環境問題が隠されています。ファストファッションの普及により大量生産・大量消費が行われている現在のファッション業界では、流行の移り変わり等により、まだ着られるのに捨てられてしまうなど、膨大な量の衣料品が毎年廃棄されています。この問題は「ファッションロス」と呼ばれ、環境問題の原因の一つにもなっているのです。この記事では、ファッションロスの基本や減らすための具体的な行動も紹介します。

ファッションロスとは

ファッションロスという言葉を聞いたことがない人も多いはず。どのような意味を指すのか、わかりやすく解説します。

まだ着られる洋服が廃棄されること

ファッションロスとは新品や中古品に関わらず、まだ着られる洋服が廃棄されてしまう問題のことです。食品の過剰在庫による廃棄がフードロスとして話題になりましたが、ファッションでも同様の事態が起きています。
あまり関係ない……と思うかもしれませんが、実はファッションロスは企業と家庭の両方で起きている問題です。

ファッションロスの問題点

ファッションロスは地球環境に対して大きな影響を与えています。洋服を一着生産するためには、多くの水、資源、エネルギーなどを消費します。こうして作られた洋服が一度も着用されなかったり、まだ着られるにも関わらず廃棄されてしまったり……。これでは、ただ環境に負荷を与えているだけの活動になってしまうでしょう。
そうしたファッションロスは、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素排出量の増加、化学物質による水質汚染などにつながってしまいます。

ファッションロスの原因

環境に負荷をかけるファッションロスですが、どのような原因で起きるのでしょうか。いくつかの原因を説明します。

洋服の在庫量の見込み違い

私たちがアパレルショップに訪れると多くの洋服が店頭に並んでおり、気に入ったアイテムがあればすぐに購入できるでしょう。一見あたりまえの光景に見えますが、これを実現するためにお店では多くの在庫を確保しています。
在庫量が適切であれば問題はありませんが、見込み違いがおきてしまった場合、売れ残った洋服が最終的に廃棄されていることも多く、ファッションロスの一因になってしまうのです。

洋服の流行の移り変わり

ファッションは自己表現をするための重要なツールですが、洋服には流行り廃りがあります。流行が過ぎ去ってしまった洋服は、どうしても着なくなってしまうもの。まだ着られる洋服だったとしても、「もう着ないだろう」と捨てられてしまうこともあるでしょう。また、その時点でお店に売れ残った洋服が買われることはないかもしれません。

洋服の気軽な購入

1990年頃から日本でも普及したファストファッションにより、私たちは気に入った洋服を安価に購入できるようになりました。多くの人がファッションを楽しめるようになりましたが、その反面、洋服を気軽に購入できるがゆえに廃棄するハードルが下がってしまう場合も……。
まだ着られる洋服を気軽に捨ててしまう意識も、ファッションロスの原因といえるでしょう。

ファッションロスを減らす行動

意外と身近に潜むファッションロスを減らしていくには適切な行動が必要です。いくつかのポイントをご紹介しましょう。

長く着られる洋服を選ぶ

ファッションロスを減らす上で最も大切な行動は、「長く着られる洋服を選ぶこと」です。例えば、流行に影響されずに自分らしさを表現できる洋服、品質が良くて耐久性が高い洋服など……。気軽に洋服を購入するのではなく、きちんと吟味して選んでみましょう。
洋服を選ぶ基準を少し変えるだけで、ファッションロスを減らすことにつながります。

洋服をリペアする

お気に入りの洋服でも、何らかの理由で破れてしまうと着なくなってしまうもの。しかし、小さな破れ・ほつれであればリペアすることで改めて長く着られるようになります。また、リペアの仕方によっては洋服の新しい魅力を引き出せる場合もあるため、おすすめの取り組みです。
洋服を買い替えるよりコストも低く、お財布にやさしいというメリットもありますよ。

洋服をリユース/リサイクルする

自分では着なくなってしまった洋服でも、他の誰かのお気に入りになる場合もあります。洋服を処分するのではなく、友人・知人に提供したり、リサイクルショップに持ち込んだりすることも大切です。また、アパレルショップの店頭でも洋服を回収している場合があります。回収された洋服は分別されて、リユースできるものはリユース、リユースできないものは別の材料にリサイクルする活動も行われています。

なお、廃棄された衣料品や繊維くずなどを原料の一つとしてケミカルリサイクルし、繊維として新たに生まれ変わらせた製品が帝人フロンティアのリサイクルポリエステル「エコペット」です。ファッションロスによって生じる環境負荷を抑えることにつながるポリエステル繊維といえるでしょう。

まとめ

この記事ではファッションロスを減らすための具体的な行動をご紹介しました。ファッションロスは、地球環境に大きな負担をかけている深刻な問題です。
私たち一人ひとりが意識を変えることで、この問題の解決への一歩となります。ファッションロスについて理解を深め、よりサステナブルな暮らしを送るきっかけにしていただけたら幸いです。

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