Interview

クオリティもサステナビリティも両立。ナノ・ユニバースが、上品カジュアルなバッグに「エコペット」を採用した理由とは?

都市型の高感度なトレンドを発信する人気のブランド、ナノ・ユニバース。

近年では本格的なルックスでありながらストレッチ性が高いセットアップをリリースする「ダメリーノ」ラインでも人気だが、さらにカジュアルビジネスを扱うラインが3つに分化。その中の一つ「アダプテーション」ラインからリリースされた2種のバッグには「エコペット」が使われており、店頭でもwebでもかなりの人気を博しているという。

保守的になりがちなビジネスファッションのシーンにおいて「エコペット」を採用した理由と、ナノ・ユニバースが考える今後のSDGsへの取り組みなどについて、メ ンズセクション企画の笹原 玲氏に話を聞いた。


ーアクティブに動けて上品なルックスの「ダメリーノ」の好調を受けて、カジュアルビジネスを扱うラインがさらに増えるそうですね。

これまでビジネスでもカジュアルでも使えるセットアップは、主に「ダメリーノ」としてリリースしてきましたが、2023年からはカジュアルビジネスを扱うラインを3つに分けたんです。

まずは幅広い層から人気の高い「ダメリーノ」。ビジネスでもカジュアルでも着るだけで決まるデザインで、環境に配慮した「エコペット」や機能性の高い「ソロテックス」なども採用してきました。

そして今回ご紹介するバッグなどもリリースする「アダプテーション」。ポケットの配置などにもこだわった機能的なデザインと動きやすい素材で、出張などにも使えるアイテムを取り揃えたラインです。

さらにオフィスでもリモートワークでも使えて、幅広く着こなせる「Nシリーズ」を加えた3ラインで、カジュアルビジネス向けのアイテムを展開していきます。

ー今回紹介するバッグは、機能性を重視した「アダプテーション」ラインからのリリース。その素材に「エコペット」を採用した理由をお教えください。

会社としてサステナブルな素材を使うことは命題となっているのですが、製品のクオリティを無視するということもできません。

今回採用した生地は企画に一番マッチした質感と機能性で、かつ「エコペット」を使用しており、クオリティもサステナブルもクリアした生地だったというのが大きな理由ですね。

ー具体的にどのような点が企画にマッチしていたのでしょうか?

今回の企画で目指したのは、ビジネスにも使える上品さと程よくカジュアルな雰囲気を併せ持つバッグ。

タフでありながら品があり、軽量なのにしっかりとした素材感で自立する、太番手の「エコペット」の糸を織り上げたバスケットクロスは、ルックスはもちろんSDGsという観点からも、企画にマッチしていましたね。

ー「マルチポケットトートバッグ」と「マルチポケットバックパック」のデザインディテールについてお教えください。

品名に「マルチポケット」とあるように、随所に機能的なポケットが配置されているのが特徴です。

アクセスしやすい位置に施された携帯ポケットやビジネスシーンに欠かせないPCポケットはもちろん、充電器などのガジェットを入れられるメッシュポケットや鍵などを取り付けられるループなど、必要十分な収納が手の届きやすい場所に配されています。さらに出張のときなども想定して、キャリーバッグの取っ手に通せるよう背面にバーループも施しました。

バックパックは大きく口を開けることができ、かつ荷物がこぼれにくいような仕様。トートバッグの取っ手は肩掛けも手持ちも可能な長さに調整されており、地面に置いても自立するようにデザインされています。

ルックスも機能性も両立した、非常にいいバランスのバッグに仕上がったと思います。どちらも非常に好調な売れ行きですが、特にバックパックはかなりのスピードで売れていますね。

ー「エコペット」など再生素材に対する、お客様の反応はいかがでしょうか?

作り手であり売り手である僕らはもちろん、お客様の間でも「SDGsについて意識することは大切だよね」という考え方はかなり広がってきていると思います。でも、売り手が「これはサステナブルなアイテムです」とコーナーを作ってアピールすることもちょっと違うのかな、と思っていて。そのためタグなどでアピールすることはあえてしていないのですが、手に取ってくれたお客様に「実はペットボトルと繊維くず由来の『エコペット』なんです」とお話すると、購入の後押しになるという事も多いですね。

生地のクオリティは格段に良くなってきていますし、昔のように「再生素材だから質が良くない」というようなネガティブなイメージは、全くなくなってきていると思います。

ーその他、SDGsなどへの取り組みなどはありますか?

ナノ・ユニバースを擁するTSIホールディングでは、「ファッションエンターテインメントでサステナブルな未来をつくる」という目標を掲げています。

その目標に向かって、サステナビリティ委員会を設置し、温室効果ガスの削減目標を設定するとともに、人権に配慮したサプライチェーンのマネジメントを行うなどの活動を続けています。

さらにバリューチェーン全体の改革に向けて、原材料を有効活用する「マテリアルイノベーション」、モノづくり・流通を見直し、資源循環させる「SCMプラットフォームイノベーション」、お客様との新しい関係性を築く「エンゲージメントイノベーション」という3つの柱を軸に、新たな価値を作り出してゆければと考えています。

ー作り手としての「エコペット」への要望などはありますか?

「エコペット」はストレッチなど機能性の高いものから上質なルックスのものまで、バリエーションも非常に豊か。現時点で満足の行くクオリティだからこそ採用しているのですが、欲を言えば帆布のような天然素材風のものなどもあると面白いと思いますね。

現状では再生する際に手間がかかるということもあって、価格が少し高いという点はありますが、それをお客様にご理解いただいた上で選択してもらうことにより、価格も抑えてゆくことができるはず。そのためにも、魅力的な商品を作り続けて行ければと考えています。

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