捨てない選択で未来を変える! 繊維リサイクルの方法と現状を解説

繊維 リサイクル

私たちが毎日身に着けている洋服は着古したりサイズアウトするなど、不要になればごみとして捨ててしまうことが多いでしょう。しかし、不要になった洋服をごみとして捨て続けると廃棄物増加問題が悪化し、新たな資源を使用し続けるといずれは資源が枯渇することに……。
洋服が不要になったとしても、まずはリユースやリペアなどを検討してみましょう。それでも捨てることになった場合には繊維リサイクルも考えてみてください。

この記事では、繊維リサイクルの具体的な方法と国内のリサイクルの現状、取り組み例などを紹介します。捨てずに活用する選択をすることで、私たちの未来が変わるかもしれません。

繊維リサイクルの方法

繊維リサイクルとはどのように行われるのでしょうか。定義や具体的なリサイクル方法について解説します。

捨てるはずの繊維を原料に生まれ変わらせる

繊維リサイクルとは使い終わった繊維製品を廃棄するのではなく、原料として活用する方法です。新たな石油資源や天然資源の消費を抑制し、ごみの削減にもつながるなど多くのメリットがあります。
繊維リサイクルの具体的な方法には大きく分けて2つ、マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルがあります。

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルとは回収した洋服や廃プラスチックなどを新たな製品に生まれ変わらせる方法です。ウールやコットンなどの天然繊維は、回収した繊維をもう一度元の繊維状に戻して、紡ぎなおします。
また、ペットボトルやプラスチック製品の場合は、粉砕したり溶解したりした後に生まれ変わります。その中でも、繊維としてマテリアルリサイクルが実施できている代表的な例は、ペットボトルをリサイクルしたポリエステル繊維です。

ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルとは廃プラスチックを化学的に分解し、原料として再利用する方法です。例えば、分解して化学製品などに利用可能な合成ガスへ転換する「ガス化」、化学分解して油を製造する「油化」、コークスの代用とする「高炉原料化」、化学分解してもとの製品原料やモノマーに戻す「原料・モノマー化」があります。
ケミカルリサイクルはエネルギー使用量やコストが高いことがデメリットですが、今後の技術開発や最近のサステナブル意識の醸成にともなって解決されうる課題です。

繊維リサイクルの現状

ごみの削減や新たな石油・天然資源の消費抑制など、多くのメリットがある繊維リサイクルですが、どの程度普及しているのでしょうか。統計データなどを参考に現状を探ってみましょう。

約66%の洋服が処分されている

使わなくなった洋服の半分以上は「ゴミ」として廃棄され、焼却・埋め立て処分となることが多いのです。廃棄処分を行う際にも多くのエネルギーが使用されるため、環境にやさしくはありません。将来的に持続不可能な状況といえるでしょう。

繊維リサイクルされるのは15%程度

持続可能な社会を実現するには使い終わった繊維を資源としてリサイクルし、循環させることが大切。しかし、現状では、繊維リサイクルされている洋服は全体の15%程度(2022年のデータ)です。将来的には、この割合を高くしていかなければなりません。
難しそうな内容にも聞こえますが、実は意外と簡単です。例えば、不要になった洋服を自治体の資源回収で回収してもらったり、アパレル店などに置かれている衣類回収BOXに持ち込んだりするだけでも、廃棄・単純焼却される量を減らすことにつながります。
また一方で、古着販売店に持ち込んだり、フリマサイトでの販売をしたりすれば、リユースにもつながり、廃棄される量をさらに減らすことにもつながります。

繊維リサイクルの取り組み方法

繊維リサイクルの取り組みにはどのような方法があるのでしょうか。具体的な例を3つピックアップしてみました。

不要な洋服を新しい繊維にリサイクル

不要になった洋服を回収し、新たな繊維として生まれ変わらせる方法が存在します。
例えば、コットンやウールなどの素材でできた洋服であれば、反毛と呼ばれる工程を経てワタの状態に戻せるのです。
合成繊維素材であれば、ケミカルリサイクルを通じてもう一度新たな繊維に生まれ変わらせることもできます。さらに、こうしたリサイクル繊維で作られた洋服がまた不要になったとしても、さらにもう一度生まれ変わらせることも可能。まさに繊維を循環させる取り組みといえるでしょう。

不要な洋服は回収ボックスへ

繊維リサイクルには特殊な機械や工程が必要になるため、個人で取り組むにはハードルが高いかもしれません。しかし、自治体の資源回収に出したり、衣料品店舗の回収ボックスを積極的に活用したりすることが結果的には繊維リサイクルに貢献します。
個人でも繊維リサイクルに積極的に参加するために、まずは近くの回収ボックスの場所を調べてみてはいかがでしょうか。

工場の端材を繊維にリサイクル

繊維にリサイクルするための原料は、消費者が廃棄する洋服だけではありません。洋服を縫製する工場や、繊維原料を生産する工場で発生する繊維くずと呼ばれる端材を有効活用するのも大切です。
これらの端材は著しい汚れが付着しておらず、使われている素材が明確なことが特徴。そのため、同じ素材原料のものが大量に集められ、良質なリサイクル資源になります。

まとめ

この記事では、繊維リサイクルの定義や現在の状況について解説しました。また、個人や企業単位で実践できる繊維リサイクルの取り組みも紹介。日本の繊維リサイクルに対する取り組みは、まだまだ少ない状況にあるのが現実です。しかし、リサイクル技術の進化に伴い、新たな取り組みなども増えてきています。
限りある資源を有効活用し、環境負荷を低減した社会が持続できるように一人ひとりができることを取り組んでみてはいかがでしょうか。

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