地球と共存するファッション! エコ素材で作るサステナブルな洋服

エコ素材


ファッション業界で発生する大量の廃棄衣料品は、地球環境問題の大きな原因の一つになっています。問題解決のためには衣料品を単純に廃棄するのではなく、リサイクルによって再資源化することが重要です。そのように再資源化された素材は、「エコ素材」として再活用することもでき、環境負荷の低減にも貢献します。
しかし、まだまだエコ素材について知らない人も多いはず。そこでこの記事ではエコ素材の定義やメリット、具体的なエコ素材の種類を紹介しています。

エコ素材とはどんな素材?

そもそも「エコ素材」とはどのような素材を指すのでしょうか。定義について解説します。

地球環境にやさしい素材

エコ素材の「エコ」は、エコロジー(ecology)を略したもの。エコロジーを日本語に直訳すると「生態学」という意味ですが、「環境や地球へ配慮した」という意味合いでも使われています。
今までのファッション業界では、大量生産・大量販売を続けるファストファッションの短いスパンに合わせ、新たな資源を使い続けてきました。しかし、この方法ではトレンドの変化などにより衣料品が売り切れなくなる可能性があり、それによる大量の廃棄衣料品の発生、また焼却する際のさらなるエネルギー消費につながりかねません。

そこで、地球環境にやさしい素材として注目されているのが「エコ素材」です。エコ素材を使用した製品が当たり前になれば、洋服を単純廃棄する割合が減っていくことにつながり、廃棄物焼却時のエネルギー消費の抑制、新たな資源の消費を抑えることにつながります。一方で、エコ素材と記載していながら根拠データが明確に示されていない事例もあるため、注意が必要です。

「エシカル素材」との違い

「エコ素材」と似たような意味を持つ言葉に「エシカル素材」があります。「エコ素材」が環境への配慮について注目しているのに対して、「エシカル素材」は環境だけではなく、人や社会への配慮も含んでいます。エコ素材よりもエシカル素材の方が、幅広い表現になっているといえるでしょう。

エコ素材のメリット

環境へ配慮する「エコ素材」の持つ主なメリットを3点ピックアップしました。それぞれ詳しくみていきましょう。

石油資源の消費を抑える

繊維製品の中で多く使われている合成繊維は、石油資源を原料に使って生産されています。しかし、限りある石油資源を消費し続けることは、地球や人間にとって優しい選択とはいえません。合成繊維には植物や廃棄プラスチックなどを原料に使用するものもあり、石油資源の消費を抑えられます。

環境負荷を低減できる

一般的なコットンなどの天然繊維でも、効率的に生産するために化学薬品が使われることがあります。例えば、殺虫剤や除草剤のような農薬だけではなく、肥料や成長剤なども化学薬品の一つです。化学薬品を多量に使用すると、土壌汚染や水質汚濁などにつながる危険性もあり、巡り巡って私たちの体の中に入るかもしれません。
エコ素材の一つであるオーガニックコットンなどは化学薬品の使用を抑制して生産されるため、環境負荷の低い素材といえます。

廃棄衣料品の発生を抑制できる

使い終わった繊維製品は、大部分が焼却処分か埋め立て廃棄されています。廃棄処分を行う際に多くのエネルギーが使用されるため、環境にやさしいとはいえません。
エコ素材の一つであるキュプラは、綿花を採取した残り部分の産毛(コットンリンター)を再利用して作られる素材です。本来であれば捨てられるはずだった繊維を、新たな製品に生まれ変わらせているのです。

エコ素材の種類

エコ素材には具体的にどのような種類の繊維があるのでしょうか。代表的な素材を4つピックアップしてみました。

オーガニックコットン

コットン(綿)といえば、シャツやブラウスなどにも使われている身近な素材です。「オーガニック」とは、日本語では「有機」と訳され、「化学合成農薬や化学合成物質をさけて生産されたもの」のような意味合いで使われます。オーガニックコットンとは有機栽培で生産されたコットンのうち、厳しい認証基準をクリアした素材です。 

リサイクルポリエステル

リサイクルポリエステルは回収したペットボトルや工場の衣料品製造工程で発生した端材、廃棄衣料品などをリサイクルして作られる素材です。従来は廃棄されていた製品を原料にしているため、生産する際に新たな石油資源を消費しません。
例えば、帝人フロンティアの「エコペット」もリサイクルポリエステルの一つ。使用済みペットボトルはマテリアルリサイクル工程を経て、繊維くずや廃棄衣料品はケミカルリサイクル工程を経て、「エコペット」に生まれ変わります。

リサイクルコットン・リサイクルウール

リサイクルできるのはポリエステルのような合成繊維だけではありません。コットンやウールなどの天然繊維も、積極的にリサイクルされています。
不要になった洋服や工場端材を分別した後、もう一度、元の繊維状に戻して、紡ぎ直す方法が用いられます。新たな天然資源を消費せず、廃棄物も減らせる素材です。ちなみにリサイクルウールは、アパレル用の主要繊維の中でも多く再利用されているといわれています。

バイオマス由来の合成繊維

従来の合成繊維は石油由来ですが、植物由来(バイオマス由来)の原料から作られる繊維もあります。原料に使う石油資源の量を減らせるため、資源消費を抑える対策として効果のある素材です。
代表的なバイオマス由来繊維には一部に植物由来の原料を使用したPTT繊維や、トウモロコシなどのデンプンから作られるポリ乳酸繊維などがあります。

まとめ

この記事では、エコ素材の定義やメリット、主な種類について解説しました。将来、美しい環境を持つ社会として持続的に発展していくためには、地球環境に配慮した選択が必要です。エコ素材は資源の消費を抑えたり、環境負荷を低減したりするなど環境問題の解決に貢献します。
未来の子供たちのためにも、エコ素材を積極的に使うような選択をしてみてはいかがでしょうか。

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